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世界遺産登録の功罪
世界遺産リストへの登録は、1972年のユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」(「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)に基づく。登録されると、その後、将来にわたって継承していくための保護や管理が求められる。
このような景観や環境の保全の義務づけは、遺産周辺の開発や、周辺地域の観光産業、住民の生活に大きな影響をもたらし、摩擦やトラブルを起こすことがある。
たとえば、1996年に世界文化遺産に登録された、ドイツの「ケルン大聖堂」は、ゴシック様式の大聖堂である。ゴシック様式の建築物としては世界最大である。しかし、ユネスコの世界遺産登録後、周辺の高層建築物計画による景観破壊が問題となった。そのため2004年には危機遺産に指定され、近隣の高層ビル建設との摩擦から、大聖堂の周囲に高さ規制を敷くなどの努力がなされた。
同様にドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」も、2004年に世界文化遺産に登録された。ところがその後2006年にはユネスコの世界遺産委員会により、「危機にさらされている世界遺産」リストに登録し、世界遺産リストそのものからの除去される可能性もある、と警告を受けた。理由は、交通渋滞の解消のために、エルベ渓谷を渡る橋の建設が計画されているから、というものだ。橋の建設により、一帯の文化的景観が損なわれ、「顕著で普遍的な価値」という文化遺産としての要件が認められなくからである。
これらの2例は、世界遺産と周辺地域の開発との摩擦の例である。その他、周辺地域の観光産業や住民の生活への影響としては、日本の白川郷・五箇山の合掌造り集落の例が挙げられる。
岐阜県・富山県の白川郷・五箇山の合掌造り集落は、登録後、観光客が激増した。それにより観光産業は潤ったのだが、これらの集落には現在も住民が生活しているのである。その日常生活を一部の観光客が覗き込むなどのトラブルが起きている。
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